用語集

エージェント時代のB2B用語集

Model Context Protocol(MCP)

Model Context Protocol(MCP)は、2024年11月にAnthropicが公開したオープン標準で、AIアプリケーションが外部のツールやデータソースに接続する方法を定義します。モデルが関数を呼び出しリソースを読み取るための統一的な手段を提供し、従来ツールごとに個別実装が必要だった連携を置き換えます。

ベンダー評価

ベンダー評価とは、候補となる供給元を、定義された要件(機能、価格、連携、セキュリティ、コンプライアンス、サポート)に照らして体系的に評価し、選定に至るプロセスです。B2Bソフトウェアでは通常、ロングリストからデモ・質問票を経て、社内で最終判断を正当化できる採点済みショートリストへと進みます。

総所有コスト(TCO)

総所有コスト(TCO)とは、ソフトウェア導入のライセンス費用だけでなく、導入作業、データ移行、連携開発、教育、社内運用、サポート契約、そして将来の移行コストまでを含めた生涯コストです。SaaSの評価では、表示価格が近い2製品の実質コストが大きく分かれる理由になります。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は英語で Electronic Bookkeeping Act(正式な英訳は Act on Special Provisions for Preservation of National Tax Records in Electronic Form)。税務関係の帳簿・書類を電子的に保存する方法を定める日本の法律で、スキャン文書の保存要件を定めるとともに、2024年1月に完了した段階的な改正により、電子的に受け取ったデータは電子形式で保存することが義務化されました。

インボイス制度

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、2023年10月1日に開始した制度です。消費税の仕入税額控除を受けるには、適格請求書発行事業者が交付した適格請求書を保存する必要があり、そこには登録番号と税率ごとの消費税額等が記載されていなければなりません。

エージェント間コマース

エージェント間コマースとは、買い手と売り手それぞれのAIエージェントが、要件・機能・価格・コンプライアンスなどの情報を交換し、商談の初期段階を自律的に進めるB2B取引モデルです。最終判断は常に人間が行い、エージェントはその前段にある定型的な情報交換や商談を代替します。

A2Aプロトコル(Agent2Agent)

Agent2Agent(A2A)プロトコルは、2025年4月にGoogleが発表し、その後Linux Foundationに移管されたオープン標準です。異なるフレームワークやベンダーで構築されたAIエージェント同士が、互いを発見し、安全にメッセージを交換し、タスクで協調することを可能にします。

RFP自動化

RFP自動化とは、提案依頼(RFP)のプロセスをソフトウェア——近年はAIエージェント——で圧縮することです。普通の言葉で書かれたニーズから要件書を生成し、条件に合うベンダーに配布し、構造化された回答を収集して適合度を評価します。数週間かかる文書のやり取りと確認会議を、並行処理される構造化プロセスに置き換えます。

稟議

稟議とは、購買やツール導入などの意思決定に先立ち、起案書(稟議書)を関係者・管理職に回覧し、承認を得る日本企業の意思決定プロセスです。実行前に組織的合意を形成できる一方、B2Bの購買サイクルに大きなリードタイムを加える要因にもなります。

RFI・RFP・RFQ

RFI・RFP・RFQは、買い手がベンダーに送る3段階の調達文書です。RFI(情報提供依頼)は市場にどんな事業者がいて何ができるかを広く調べます。RFP(提案依頼)は絞り込んだ候補に、定義済みの課題をどう解決するかを問います。RFQ(見積依頼)は仕様が固まった範囲について確定価格を求めます。

セキュリティチェックシート

セキュリティチェックシートとは、買い手が導入候補のベンダーに送る構造化された質問票で、データ保護の状況(アクセス制御、暗号化、再委託先、インシデント対応、認証、データ保存場所など)を確認するものです。多くの企業で購買承認の前提となっており、回答対応はエンタープライズ向けに販売するすべてのベンダーにとって継続的なコストです。

SOC 2

SOC 2とは、米国公認会計士協会(AICPA)が定める監査報告書で、サービス提供組織がトラストサービス基準(セキュリティ、可用性、処理のインテグリティ、機密保持、プライバシー)に対してどのように統制を実装しているかを報告します。Type Iはある時点での統制の設計を評価し、Type IIは一定期間(一般に3〜12か月)にわたる運用の有効性を検証します。

ISO/IEC 27001(ISMS)

ISO/IEC 27001は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格で、セキュリティリスクを特定し統制を適用するための文書化された枠組みです。SOC 2と異なり、認定を受けた審査機関が発行する認証書が交付され、有効期間が定められ、期間中は定期的な維持審査を受けます。

電子署名法

電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律・平成12年法律第102号)は、電子署名に法的効力を与える日本の法律です。第3条は、本人による本人だけが行える電子署名が付された電磁的記録に真正な成立の推定を認めており、電子契約が日本の裁判で証拠として通用するかを左右する条文です。

認定タイムスタンプ

認定タイムスタンプとは、総務大臣の認定を受けた時刻認証業務事業者が発行する時刻証明です。電子データがある時点に存在していたこと、およびその時点から改ざんされていないことを証明するもので、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件として用いられます。

PoC(概念実証)

PoC(概念実証)とは、購入前に期間を区切って行う試験導入で、買い手が自社のデータ・システム・利用者に対して製品が実際に機能するかを検証するものです。ベンダーが主導するデモと異なり、PoCは買い手が事前に書き出した具体的な問いに答えるために設計されます。

ベンダーロックイン

ベンダーロックインとは、より優れた代替が存在するかどうかに関わらず、供給元を切り替えるコストが留まるコストを上回る状態を指します。SaaSでは、抽出しにくいデータ、独自機能に依存した業務フロー、作り直しが必要な連携、単一の画面に習熟した担当者などから生じます。

Agent Payments Protocol(AP2)

Agent Payments Protocol(AP2)は、2025年9月にGoogleが発表した、決済手段に依存しないオープン標準です。AIエージェントが「実在する利用者がこの購入を承認した」ことを証明できるようにするもので、Mandate(マンデート)と呼ばれる暗号署名付きのデジタル契約により、エージェント・加盟店・決済ネットワークの間に改ざん不能な監査証跡を作ります。

x402

x402は、Coinbaseが2025年に発表したHTTPネイティブの決済プロトコルで、予約済みのHTTPステータスコード「402 Payment Required」を実用化するものです。エージェントが有料リソースをリクエストすると、サーバーは機械可読な支払い指示とともに402を返し、エージェントは署名済みの支払い証明(主にステーブルコイン)を添えて再リクエストします。アカウント・カード・人間のチェックアウト操作は不要です。

llms.txt

llms.txtは、2024年9月にJeremy Howard氏が公開した提案標準で、サイトのルートに置くMarkdownファイルです。そのサイトが何であり、どのページが重要かを、リンク付きの簡潔なマップとして言語モデルに提供します。robots.txtがクローラーの許可を扱うように、llms.txtはLLMの限られたコンテキストウィンドウという課題を扱います。

Agentic Commerce Protocol(ACP)

Agentic Commerce Protocol(ACP)は、OpenAIとStripeがメンテナンスする、買い手・そのAIエージェント・事業者をつないで購入を完結させるためのオープン標準です。2025年9月から稼働しており、ChatGPTのInstant Checkoutを支えています。加盟店は構造化された商品カタログとチェックアウトフローを公開し、アシスタントが利用者に代わって購入を完了できます。